OB・OGインタビュー
東京大学物性研究所助教 笠松 秀輔 先輩
2008年卒今どういったお仕事をされていますか
東京大学物性研究所で助教として働いています。物性科学とは、その名の通り、物の性質を、原子・電子のミクロの世界から解き明かしていくことを目指す学問 です。助教というのは、研究に携わる教職員の中での下っ端にあたるわけですが、逆に、研究の現場に一番近いと言えます。私個人の研究分野は、計算材料科 学、あるいは計算物性物理と呼ばれるもので、スーパーコンピュータを使ったシミュレーションを通して物の性質を原子・電子の世界から理解し、最終的には燃 料電池や電子デバイスなどの性能を向上させるための材料設計指針を打ち立てることを目指しています。研究以外の職務としては、日本中の物性研究者が利用し ている物性研スーパーコンピュータシステムの運営に携わっています。
そのお仕事に、東大柔道部時代の経験がどう生きていますか
研究の世界で知り合った人たちを見ていると、いわゆる体育会系の比率が学生時代より高いと感じます。その理由としては、厳しい練習を自発的に行い、勝った り負けたりしながら試行錯誤を繰り返した経験により、ここぞというときに集中力と体力が持続すること、そして、試行錯誤になれている(うまくいかなくても 簡単にへこたれない、粘り強い)ということが挙げられると思います。これらは研究者に必要なクオリティであり、私自身もそういった観点で東大柔道部時代の 経験が生きていると実感しています。
高校時代は、どういうことをやっておけばいいですか
特にこれをやっておけば良いというのは分かりませんが、切り替えをしっかりすることが重要だと思います。部活の時は部活に集中する、授業中は授業にしっか り参加する、試験1週間前になったら勉強に集中するなど。あとは3食しっかり食べてよく寝ることも、冗談ではなく大切なことだと思います。最後に、もし理 系の研究者を目指すのであれば、文章を書くトレーニングや、英語に力をいれておくと良いと思います。意外と理系研究者でもこれらの、いわゆる文系スキルが かなり必要になります。
高校生におすすめの本等はありますか
う~ん。とくにありません。私は普段、小説やインターネット上の記事以外あまり読まないので。柔道関係でしたらもちろん、現東大柔道部師範の柏崎先生による「寝技で勝つ柔道」ですね。
その他、高校生にメッセージをお願いします
学生時代の過ごし方として、いろいろなバイトやサークルに顔を出すなどして、社会勉強をするのもありですが、一つのことに全ての情熱を注ぐということは、 社会人になったらできなくなります。そういった観点で、東大柔道部の仲間に加わるということを有力な選択肢として検討してもらえたら、これ以上うれしいこ とはありません。