OB・OGインタビュー

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国立情報学研究所 特任助教 高山 健志先輩

2007年卒

今どういったお仕事をされていますか

↑国際会議で発表されている高山先輩

↑国際会議で発表されている高山先輩

私はコンピュータグラフィクス(CG)分野の研究をしています。CG の歴史は 1970 年代頃から始まりましたが、今では極めて高度な映像表現ができるようになってきており、例えば実写と見分けがつかないような CG の特殊効果が映画で使われることも珍しくありません。しかしそれでも、この分野の発展が終わったわけではありません。興味深い問題提起やアイディアの提案 が今もなされ続けており、SIGGRAPH をはじめとする国際学会に行けば、毎回必ず新しい発見があります。CG はコンピュータ科学という大きなカテゴリの中でも特に応用志向が強い分野で、映画・ゲーム・ものつくり等の産業界との結びつきが非常に強いことが特徴で す。また三次元空間の情報を映像として描き出すという CG の性質上、数学・物理学は当然として、その他にも芸術・機械工学・医学・心理学・建築学など多くの分野の知見を活用でき、しかも結果が視覚的にインパクト のある形で出てくる、という点も非常にエキサイティングです。
 CG に限らずコンピュータ科学の諸分野では、基本的にプログラミングが研究活動の中心なので、コンピュータさえあれば、誰でもどこでも新しいアイディアを世に 問うことができます。また研究成果をソースコードや実験データの形でオープンにすることが多く、第三者による再現・検証が比較的簡単にできるため、非常に わかりやすいと世界だと思います。さらに研究内容の善し悪しの判定は、企業活動の利害を離れたアカデミックな文脈で行われるので、フェアな評価がなされる という点も魅力です。

そのお仕事に、東大柔道部時代の経験がどう生きていますか

↑ニューヨークの Oishi Judo Club にて

↑ニューヨークの Oishi Judo Club にて

余計な飾りを抜きにして、純粋に最終的な結果の善し悪しのみがガチンコに問われる、という意味では柔道とも似ている部分があると思います。きちんと自分の 論理を積み上げそれをプログラミングによって実証する、という過程は、柔道で技を研究しそれを試合で実践するということと、本質的には同じかも知れませ ん。そういうシンプルでフェアな環境で自分なりに何かを突き詰める、そしてその中で困難にぶつかってそれを乗り越える、という経験を東大柔道部で得られた ことは、私の大きな財産になったと思います。また何が正解なのかが基本的には決まっておらず、自分が正解だと信じるものを自分で見出して、それを実際に自 分で証明しないといけない、という点も似ていると思います。

柔道の練習を通して得られる肉体的・精神的な強さは、当然ながら卒業後も大きな武器になります。また引退後も柔道を続けることは、体と心の健康維持にとて も良いと思います。私は大学院時代にニューヨークに 9 ヶ月、ポスドク時代にチューリッヒに 2 年半の滞在をしましたが、その時も道場を見つけて柔道をすることで、運動不足を解消しつつ簡単に友人を作ることができました。もし柔道をやっていなかった ら、もっと寂しい滞在になっていたと思います。また仕事以外の人間関係を得られることは、社会人になってからは非常に貴重なことです。

高校時代は、どういうことをやっておけばいいですか

 普通に受験勉強をしっかりやりましょう。何だかんだ言って、その後の人生で多少は役に立ちます。また、これからの時代は世界史を始めとした社会科の科目 の重要性が増してくると思います。(苦手だった自分が偉そうに言うのは気が引けますが)現代社会とのつながりを意識して、時には教科書の範囲を超えるくら い、主体的に勉強してください。
あと、趣味を持つのは良いことなので、勉強に支障を来さない程度にやりましょう。私も当時はゲームが大好きで、それが高じてプログラミングのさわりを勝手に始めていましたが、それも私の進路にある程度関係していると思います。

高校生におすすめの本等はありますか

恥ずかしながらあまり本を読まないで来てしまったのですが、あえて挙げるなら東大柔道部 OB である故・柘植俊一先生の「反秀才論」でしょうか。大学入学後に読んだのですが、とても感銘を受けました。

その他、高校生にメッセージをお願いします

もし柔道をやっているなら、大学入学後も是非続けましょう。柔道をやったことが無い人は、思い切って大学で始めてみましょう。東大柔道部には初心者で入部して、ものすごく強くなった人がたくさんいます。

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